毛髪にとってよい食品、よくない食品、嗜好品などについていろいろ挙げていきたいと思います。ただし、普通の食生活や健康状態では、毛髪の成長速度やヘアサイクルは食べ物の影響を受けるものではないことと、食品によい悪いというものはないことを初めに断っておきます。

 

 食べ物と男性型脱毛症の因果関係を証明したというものはありませんが、偏った食事を続けていたために脱毛量が多くなったり、髪の元気がなくなってしまったことを経験した人はたくさんいることと思います。「医食同源」というように、食べ物を見直したら体調がよくなったことを経験している人も多いことと思います。健康がすべての基本であるということを頭の中に置き、髪が気になる人は食生活にも気をつけ、見直してみてください。

 

〈なるべく摂ったほうがよい食品〉

 

●アミノ酸

 

 毛髪は何からできているかということから振り返ってみると、毛髪はケラチンという硫黄を含んだ硬いタンパク質から作られています。そして、このケラチンはアミノ酸から作られています。その意味では、アミノ酸は毛髪にとっては大切な栄養分であると言えます。質のよい毛髪を作るためには、原料の段階でよく考えて、いかに質のよいアミノ酸を含むタンパク質を摂り入れるかが大切です。

 

 低栄養や、絶食、ダイエットなどで摂取カロリーが1000キロカロリー以下になると、タンパク質の不足により1〜数ヵ月すると休止期脱毛が起こることがあります。

 


 

 タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち、成人では、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン(含硫アミノ酸)、フェニルアラニン、スレオニン(トレオニン)、トリプトファン、バリンの8種類のアミノ酸は、体内で合成できませんので、食事から摂取する必要があり、必須アミノ酸と呼ばれていました(乳幼児期ではヒスチジンを加えた9種類のアミノ酸が必須とされてきましたが、現在では成人も必須となり9種類になっています)。

 

 必須アミノ酸は、どれかが一つでも少ないと、他のすべての必須アミノ酸の働きはそれに応じて効果的に働かなくなってしまいます。食物またはサプリメントで常に摂取しなければならないのです。

 

 食品のアミノ酸の構成を比較して、栄養価を数値で表したものに「アミノ酸スコア」というのがあります。100に近いものほどアミノ酸のバランスがよい食品で、一般的に、魚や卵、乳製品はアミノ酸スコアが高いので、これらの食品を積極的に摂取するようにしなければなりません。

 

 毛髪は18種類のアミノ酸で作られています。中でも最も大切なのが「シスチン」というアミノ酸で、毛髪を丈夫に保つ働きを持っています。

 

 シスチンを多く含む食品には、牛、豚、鶏などの肉類や、卵、牛乳、ウニ、スジコ、カニ、牡蠣、アワビ、ピーナツ、大豆、ジャガイモ、納豆、小麦タンパクなどが挙げられます。これらの食品は身体を作るためにも大切なもので、いろいろなアミノ酸を含んでいます。コレステロールの多いものやアレルギーを起こすものがありますので、これらの中から自分の体質に合っているものを選ぶようにしてください。

 

●ビタミン

 

 ビタミンもいろいろなものをバランスよく摂らなければなりません。ビタミンは過不足により様々な影響が出てきます。特に美容ビタミンと言われる(リボフラビン)が不足すると、毛髪の新陳代謝が悪くなり、ヘアサイクルに異常が出たり、脱毛が起こってきたといった動物実験も報告されています。

 

 牛乳、うなぎ、どじょう、ズワイガニ、レバー、酵母、チーズ、緑色葉野菜、魚、卵などに多く含まれています。

 

 ビタミン(ピリドキシン)も大切で、皮膚の抵抗力を強くしたり、炎症を防いだり、皮脂の分泌を抑えますが、不足すると脂漏性皮膚炎、湿疹、かぶれ、フケ、脱毛が起こりやすくなってきます。このビタミンはビール酵母、ヒマワリの種、小麦胚はい芽が、レバー、米ぬか、豆類、クルミなどに多く含まれています。

 

 主なビタミンの欠乏症状と所在を挙げておきますので、参考にしてください。

 

●ミネラル・亜鉛、銅

 

 ミネラルは体内で生成することが不可能で、近年の土壌劣化が招いた食べ物の栄養素の減少により、慢性的に不足傾向にある人が多いと言われています。かといって、たくさん摂取すればよいかというとそうではなく、ミネラルはもともと体内の構成比としては非常に微量な元素で、その必要量が非常に小さいため、過剰、欠乏の範囲がとても狭く、どちらにも陥りやすい傾向があるのです。不足しても過剰であっても人体への悪影響は深刻な問題となってきます。

 

 亜鉛が不足するとタンパク質分解酵素はうまく働かず、タンパク質の分解は行われなくなってしまいます。しかし、髪によいと言われる亜鉛でも、摂取量やミネラルバランスを無視して摂り過ぎると、銅の不足を起こして脱毛が起こることがあります。

 

 亜鉛はタンパク質や核酸、インシュリンの合成、新陳代謝の過程に不可欠なミネラルで、前立腺の働きを正常化し、生殖機能の発達に必要であり、生命維持に必要な多くの酵素の構成要素となっています。

 

 体内の化学反応に必要な酵素は3000以上あると言われていますが、その中でも亜鉛により活性化される酵素は300以上もあり、とても大切なミネラルなのです。

 

 特に新しい細胞を作ったり、成長させる酵素とかかわりが深く、新陳代謝が激しい組織や細胞ほど亜鉛の不足が出やすくなります。亜鉛不足になると、舌の表面の味み蕾らいの数が減って味がわからなくなったり、傷の治りが遅くなったり、精子の数の減少、円形脱毛症、脱毛などが起こったりします。

 

 亜鉛の必要量は一日15mgですが25mgの摂取でも不足が見られたという報告もあります。亜鉛は男性の場合は前立腺に多く、1回の射精で1〜7mg、大量の汗で1〜4mg失われると言いますので、亜鉛と銅のバランスを摂りながら常に補給しておくことが必要です。

 

 亜鉛不足を補おうとしてサプリメントなどで過剰摂取をすると、今度は亜鉛に拮抗している銅や鉄などの不足を起こしてしまいます。特に銅は過剰、欠乏の範囲が非常に狭く、亜鉛に対して多過ぎても不足しても脱毛を起こし、不足は白髪にも関係してきます。亜鉛の摂り過ぎで銅とのバランスが崩れると、脱毛が起こってくることもあるのです。

 

 サプリメントの摂り方は、何となく健康によさそうだからとか、CMにつられてとか、流行だから、人に勧められてなどの理由で摂るのではなく、「毛髪ミネラル分析(次々節で詳述)」で現在の自分の身体の中のバランスがどのようになっているかを調べたうえで摂ることが必要です。

 

 自分では十分に摂っているつもりでも、食事内容や、ポリリン酸やフィチン酸の摂取量や、汗の分泌、男性の場合はセックスの頻度など、いろいろな条件により不足していたり、過剰になっていたりすることもあります。

 

 基本的にはサプリメントで摂る場合は「毛髪ミネラル分析」でチェックしてからにし、できるだけ食品で摂るほうがバランスがよく、他のミネラルも摂取できます。亜鉛は牡蠣、タラバガニ、しじみ、帆立て貝、焼き海の苔り、ココア、カシューナッツ、アーモンド、スイカやカボチャの種、肉類、玄米、ぬか、クルミ、ネギ、大豆、まいたけ、小麦、小麦胚芽、ゴマなどに多く含まれています。